出会いと災難と(下)

6/21
前へ
/126ページ
次へ
初めて3人での食事に愛の反応を窺っていたみのりだが、どうやら心配損のようで、宙の隣に座り嬉しそうにピザを食べており、そんな姿を宙が微笑んで見つめていた。 「ピザ、おいしいね!」 「美味しいね…ソース付いてる。」 もぐもぐしながら、宙に微笑む愛の口元には赤いソースが付いており、宙がティッシュで拭き取って上げる。 もし、宙と夫婦だったら、なんて一瞬考えてしまったが、彼はアイドルだ。そんな夢の話があるはずがない。 「良かったね、愛。宙が買ってきてくれたんだよ?」 「そーなの!?そら、ありがとう♪」 「どういたしまして。」 本当だったら、愛の父親でお父さんとかパパと呼ばれるべきなのだろうけど、愛にとって今の宙はテレビで見るアイドルの五十嵐宙でしかないので、「そら」と呼んでいるが、果たしてこれでいいのか。 違和感の残るこの関係に疑問を抱く。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

294人が本棚に入れています
本棚に追加