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よしよしと子供をあやすように頭を撫でられ、宙の言葉に戸惑った。
「…アイドルだけど、1人の男として、みのりの側に居たい。オレの我儘だし、縛り付けてるかもしれない、みのりには幸せでいて欲しい。」
「ーわたし、幸せだよ?」
「我慢してない?」
「そりゃ、してるけど…」
「だよね…。でも、オレがみのりを幸せにしてあげたいから…」
額に一つキスを落とすと、宙は覚悟を決めたように真剣な眼差しでみのりを見つめた。
「これは、オレだけの判断でアイドルを辞めるなんて出来ない。」
宙はみのりの左手を取ると今度は薬指に口付けた。
「ここは、オレが必ず指輪を嵌めるから、大事にしてて?」
「ーそら…。」
「時が来たら、オレと結婚して?」
宙の言葉、行動をジッとされるがままでいたみのりは突然のプロポーズに驚愕した。
朝からこんなことがあるだろうか。寝ぼけた思考が一気に覚める。
「いま、プロポーズ?」
「ー予行練習。」
「…ふっ、ダメ、笑っちゃう…」
ケラケラと笑いだすみのりにムスッとしてみせた宙だが、今はそれでも良いとさえ思えた。
彼女がオレの隣でいつまでも笑ってくれるならどんなことでもいい。泣き顔なんてもう見たくない。
宙はみのりの額にデコピンをする。突然の痛みに悶えるみのりを見て、宙は微笑むと布団から起き上がり荷物を手に取ると玄関へと向かった。パジャマの上にパーカーを羽織ったみのりが後から追いかけて来たので、頬にキスをすると戸締りをしっかりするように伝えて、帰宅した。
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