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結局、余裕が有り過ぎて、のんびりと過ごしていたみのりと愛だが、気づけばバスの時刻は迫っていて、慌てて準備を済ませて家を出たみのりと愛だった。
愛を幼稚園バスで見送り、自身はそのまま職場に向かう。今日の立ち上げは店長とだったから天馬と会うことはない。彼は本日、公休であるーーはずだった。のに何故か更衣室から制服姿で出てきた。
「あれ、おはようございます…」
「ーおはようございます。」
腰ベルトを付けながら、こちらをチラリと見て挨拶する彼に何故いるのか尋ねると本日は店長の代わりで来たらしい。
「少し、急用が出来たから、午前中だけ。午後から店長来ますから。」
「…そ、そうなんだ。」
急に気まずくなり、そそくさと更衣室へと入り込もうとした時、すれ違いに腕を掴まれた。
「へっ、な、なに?」
平常心でいようとしたが、不意なことに驚いてどもってしまった。天馬を見れば、綺麗な眉を下げていて、そんな表情も不覚にも綺麗だななんて思ってしまったみのり。
「井上さん、昨日はすみませんでした。」
ペコリと下げられた頭に、手を横にブンブン振って頭を上げるように伝えたが彼の綺麗な瞳を見ることはなく、彼は頭を下げたまま話だした。
「兄貴がいないって嘘ついたこと、それに…キスも…」
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