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「井上さんは、今、幸せ?」
「えっ!?」
急に話しかけられ、声が漏れてしまったが、
天馬の視線は至って真剣。
「ー急だね?」
「すみません、オレがこんな空気にしちゃいましたよね…」
「ーお互いに忘れましょ。」
「オレは忘れられないと思う。」
ジッと見つめられ、みのりが視線を逸らせば、
天馬から深いため息が漏れた。
「おれ、井上さんのこと…結構、気に入ってた…」
ツンとした態度を見せてきた天馬に呆然としていれば、彼の顔が徐々に赤みを帯びてきた。
「…好き…なんだと思う。」
「ーえっ…」
突然の告白に目を白黒させていれば、救世主が現れるかのように来店を告げるベルが鳴った。
それにより、天馬はすぐにお客の出迎えに向かってしまったため、立ち尽くしたままのみのり。
ーえっ、何、告白されたの…?
まさかの展開に未だにボーッと立ち尽くしたままのみのりの元へ天馬が伝票を持ってやってきたのだが、伝票を受け取らないみのりを不審に思い、顔を近づけた天馬。
「井上さん、聞いてる?オーダー!!」
そこでみのりはハッとした。目の前には顔の整った天馬の顔。吃驚したみのりは天馬の顔面を、手で押しのけてしまった。
「ーっい!?」
「あっ、ごめん!?」
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