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第三話 さようなら、ふしぎ探偵
「あのな、幻太郎。実はわたし、転校ことになったんだ」
ある日の放課後。
はてなちゃんは、いつになくしずかに、ぽつんとつぶやいた。
「えっ……?」
「大好きなこの学校や、友だち兼助手兼マネージャー兼召使いである幻太郎と離ればなれになってしまうのは、とてもさみしいけれど……」
「待って、初耳の肩書きがいくつかあったんだけど」
「幻太郎との捜査会議は、とっても楽しかった。今まで周りの子は、わたしのヘンテコな話なんて、聞いてくれなかったから……」
「一応、ヘンテコな自覚はあったんだね……」
「……今までありがとう、幻太郎。元気でな」
……なんてこった。
はてなちゃんが出ていった教室で、ぼくはひとり、窓の外を見つめながら考える。
はてなちゃん。ぼくだって、はてなちゃんと同じだよ。
目立たないぼくに、はてなちゃんは、なぜかしつこいほど話しかけてくれた。
それが、なんだかんだ、とってもうれしくて。
このままずっと一緒にいれたらいいのに、なんて、思っちゃったりもして。
……やっぱり、離れたく、ないなぁ……。
***
「ねぇ、榊くん」
「……なんだ。えー、ゆ、ゆみ、ゆみかか……?」
「幻太郎でいいよ。で、折り入って榊くんに、お願いがあるんだけど……」
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