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最終話 ふしぎ探偵よ、永遠に
四月。
はてなちゃんは五年生に進級するタイミングで、隣町の小学校に転校した。
そして、ぼくは──。
「……あれ? 幻太郎!?」
「あ、はてなちゃん」
「な、なんで幻太郎までこの学校にいるんだ!?」
「言ってなかったっけ。ぼくもてんこうすることになったんだ」
「聞いてない! でも、うれしいよ! これで新しい下僕を探さなくて済む……」
「はてなちゃんの中でぼくのポジションがどんどん低くなっていくのはどういうこと?」
……ま、いっか。
ぼくはずっと、君に、ついていくことに決めたんだ。
「そうと決まれば、また調査開始だな! この学校には、七不思議どころか、それはもう大量の噂があることをキャッチしている。たしかざっと四十九不思議……」
「七倍とは骨が折れますな、ふしぎ探偵」
「腕がなる、の間違いじゃないか? 幻太郎くん」
そう言って、はてなちゃんはとても楽しそうに笑う。
その表情を見て、改めてぼくは、この笑顔を守っていくと心に誓った。
──はてなちゃんがおばあちゃんになって、ぼくのところに来る、その時まで。
***
「それにしても、地縛霊から守護霊に転向したいだなんて、このエリートのボクだからこそできるんだからな。感謝してほしいよ」
「あぁ、恩に着るよ榊くん」
「……にしても、国府田はてなは何者なんだ。君を生身の人間だと疑いもせず、あろうことか、ふしぎ探偵を名乗り君を助手につけるとは……」
「だから、助手じゃないってば。それに、クラスが違うから気付かないのも無理はないよ。ほら、ぼく、足はあるし……」
「そういう問題じゃないだろう!? ……まったく、そこは百歩譲ったとしても、時代にそぐわない恰好や、名前に、なにも疑問ももたないのか……」
「名前は、忘れちゃったから付け直したんだ。なかなかいいセンスしてると思ってるんだけど……」
「読めない名前はやめてもらいたいんだが!」
「あはは、ごめんごめん。ま、なんなら、あの子の苗字を名乗ったっていいわけだし……」
「……。守護霊というか、もはや、怨霊めいているな、君……」
おしまい。
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