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「……それでね、まなには好きぴの担当がいるの。名前は零士って言うんだけど、零士は身長が高くて特別扱いしてくれて、何より顔が良いの。は〜マジ担当しか勝たん!」 開放的な吹き抜けと螺旋階段。天井には輝くシャンデリア。 白で囲まれた空間の中で存在を主張する、大きな暖炉。そのそばで、ベルベッドのソファに座る1人の女。 ナメクジのような涙袋と白目を埋め尽くすようなカラーコンタクトが特徴的なその女は、テンション高く声を弾ませる。 「これはね、この間シャンパン下ろした時に撮ったツーショ。やばいかっこ良くない?」 女はそう言って身を乗り出し、向かいのソファに姿勢良く腰掛ける男へとスマホを突き出した。 画面に映るのは派手髪にブランド物で身を包む、いかにもホストといった風貌の男―――女曰く“担当” 「素敵な方ですね」 女の言葉を肯定し、穏やかに微笑んでみせる男。 女はそれに見惚れること数秒、はっと意識を取り戻す。 「……お、お兄さんもさぁ。顔……すごい良いよね。 まあ、まなに取っては零士がいちばんだけどっ」 男はとても美しかった。 浮世離れした美しさがどこか妖しい魅力をかき立て、見る者の目を惹きつける。 「ありがとうございます。……おや。すみません」 その時どこからともなく現れた1匹の猫が、男の膝にひょいと飛び乗る。 毛並みの美しいロシアンブルー。首輪の鈴が可憐に揺れた。 「それ、お兄さんの猫?」 「ええ、そうです」 女からの質問に、男は猫を撫でながら頷く。 猫はその大きな瞳で女を見つめ、気に入らなかったのかふいっと顔を背けた。 「ふーん。それでさぁ私、お金が必要なの。 今月零士をトップ5入りさせるって約束しちゃったけど、このままじゃ目標額に間に合わなくて」 そう語る女の袖口からは、夥しいリストカットの傷跡が覗いている。 そして女は、少し声を潜めるようにして尋ねる。 「……ねえここって“若さ“を買い取ってくれるってほんとなの?」 男は変わらぬ笑みのまま答えた。 「……ええ、本当です。 お望みとあらば貴方の若さを買い取り、それに見合った報酬をお渡し致します」
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