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カランコロンと鳴るベルの音は、来訪の合図。 火の灯る暖炉の前で、ロッキングチェアに座り込み新聞を読んでいた男が顔を上げる。 「いらっしゃいませ。……おや、貴方は」 「えっとぉ……また、来ちゃいましたあ」 そこにあったのは、少しばかり歳を取ったように見える女の姿。 「またお会いできて光栄です。さあ、どうぞこちらへ」 男は立ち上がり、変わらず美しい微笑みを浮かべながら女を迎え入れる。 男の足元で丸くなり暖を取っていた猫が、不満そうに一声鳴いた。
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