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村娘と聖剣
机の真ん中に刺さってた剣は腕よりも少し長いくらい。それなりの重さを覚悟してたんだけど、想像よりずっと軽かった。
しかも近くで見るとより美しくて、天上から来たのも本当だろうなって思わせる。
――でも、それが何?
あたしは剣を床に投げ捨てる。
カシャンという音と共に「おい、この俺に何をする」という声が聞こえた。
「あんたこそ何してくれちゃってるのよ」
低い声で言って、あたしは足を上げる。
「普通はね、剣なんて物騒なモンが落ちてきたら、みんな驚くし逃げるわ!」
上げた足を思いっきり剣の上に落とした。ダン、という音に混じって剣の悲鳴が聞こえる。
「なのにあんたはなんて言った? 『無駄な怪我をしたもんだな』? ふっざけんじゃないわよ!」
周囲にこだまするのは、何度も剣を踏みつける足音と剣の悲鳴。そして、あたしの声。
「あんたがどこに落ちるつもりだったかなんて分かるわけないでしょ! 傷つけない位置に落ちる予定だったら落ちる前にちゃんと言いなさいよ、その場にいても平気だ、って! ――アーヴィンが痛い思いをしたのは、あんたのせいなんだからね!」
更にグリグリ踏みにじってやると、剣からは悲鳴に混じって「すまん!」とか「俺が悪かった!」という声が聞こえてきた。
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