『運命の王子様』を探すため

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『運命の王子様』を探すため

 聖剣を携えたあたしは家に戻って、瞬く間に出発の準備を整えた。  あったりまえよね、17年間も待たせちゃったんだもん!  早く『運命の王子様』に会いに行かなくちゃ!  念のため『運命の王子様を探して旅に出るとき貯金』をしておいて良かったわ!  とはいっても、これだけじゃ足らない。  仕方ないので、畑仕事から戻ってきた両親に頼んでみることにした。 「ねー、お父さん、お母さん! あたし、聖剣を手に入れたの! 村を出て『運命の王子様』探しに行くから旅費ちょうだい!」  聖剣を見せながら言ったっていうのに、両親はちっとも取り合ってくれなかった。  逆に 「お前、そんな剣を作ってまで旅に出たいのか……」  なんて泣き始めちゃった。  一方でレオンも 【俺は聖剣だぞ? 見た目だってこんなに神々しいんだぞ? ……なのに小娘が作った剣だと思われた……】  なんて、良く分からない理由で泣いてる。  ちょっと!  なんなのよ!  なんであっちでもこっちでも泣いてるのよ!  泣きたいのはあたしの方よ!  せっかく旅に出られると思ってたのに、両親から信じてもらえなかったんだからね!  困り果てるあたしの前に現れたのは、「ローゼの説明ではこうなるだろうと思った」なんて言いながら、わざわざうちまで来てくれたアーヴィン。  さすがは人前に出ることの多い神官だけあって、言葉には説得力があった。  彼がきちんとした説明をしてくれたおかげで、両親は最終的にうなずいて、旅費もちゃんとくれたんだけどさ。  なんか複雑。どうして実の娘より、他人のアーヴィンを信じるのよ。あたしだってちゃんと説明したのにな。 【当たり前だろうが。お前の頼み方でうなずく奴なんかいないぞ】  ってレオンに言われたけど、何よこいつ。失礼ね。  もう一度踏んづけてやろうかしら。
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