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考えてみたら当り前だったわ。
だって大陸の一番はしっこ、つまり辺境にあるうちの村は、人より家畜の方が多いの!
つまり、出会いがほとんどないのよ!!
がっかりするあたしを横目で見ながら、一緒に『運命の王子様』の夢を語った女友達は一人、また一人と、その少ない村の男たちと付き合い始める。
しかも
「ローゼだってもう17歳なのよ? 早いとこ良い人見つけないと嫁き遅れちゃうんだから。いい加減に現実を見て、村の中の男で妥協しなさいな」
って言うのよ。
でもね。あたしは皆みたいに諦めたりしない。
だって、世界のどこかには必ずいるんだもの。
あたしの『運命の王子様』が。
だから、村にいないんだったら、村を出て探すわ!
……なーんて、言ってもね。
世の中には人を襲う怖い魔物がたくさんいる。あたしは武器を扱うことなんてできないから、一人でそんな魔物に立ち向かうなんて絶対に無理。
つまり、このままだとあたしは『運命の王子様』を探すことができない。
終わり。
……悔しい。すごく悔しいわ。
ああ、村から出ることさえできれば、この世のどこかにいる『運命の王子様』と会うことができるのに!
今日もまた女友達が一人村の男と付き合い始めちゃって、何だかしょんぼりしたあたしは、村にいる唯一の神官・アーヴィンに会うために神殿へ出かけた。
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