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プレゼントは、大きな箱もあれば小さな箱もたくさんあって、まるで大きな山のようでした。
「ふう、これで終わりかな?」
やっとこさラメリが部屋にすべて運び終え、くるりと後ろを振り返ると、そこには、まるで朝日にキラキラと輝く海のような青いドレスをきた女の子が一人立っていました。
女の子はラメリと目が合うと、ドレスの裾をそっと手に取り、ふわりと優雅にお辞儀をしました。
その美しい振舞いに、ラメリはぼーっと見入ってしまいました。
しかしすぐに我に返り、慌ててラメリもペコリと頭を下げました。
そしてもしやと思い、ラメリは尋ねてみました。
「・・・もしかして、あなたがお姫様ですか?」
女の子は「そうです。」と一言こたえました。
その声は、まるで銀の鈴の音色のような美しさでした。
しかしお姫様はなんだか悲しそうな顔をしてプレゼントの山を見つめています。
ラメリは、どうしてそんなに悲しい顔をしているのか尋ねてみました。
お姫様は言いました。
「・・・こんなにたくさんプレゼントはあるけれど、私の欲しいものはここにはないの。」
「そうなのですか?うーん、お姫様が欲しいものって一体どんなものですか?」
ラメリは頭をしぼって考えてみましたが、望めば何でも手に入りそうなお姫様がいったい何が欲しいのか、想像もつきませんでした。
「・・・友達が欲しいの。私の周りはいつも大人ばかりで、一度も友達と遊んだことがないの。」
なんと、こんなにたくさんのプレゼントを貰えるお姫様でも、欲しいものはラメリと同じ『友達』だったのです。
ラメリはお姫様に言いました。
「でしたら!私がお姫様の友達第1号になりましょう!じつは私も、この船から一度も外に出たことがなくて、働いているみんなも大人ばかりで・・・その、友達というものが出来たことがないのです。」
「まぁ!私達はなんだか似ているのね。でしたら是非、私とお友達になってくださいな。」
「はい!ぜひ!!」
2人は隣に座り、お互いの話をたくさんしました。
そしてプレゼントをこっそり開けてみたり、お姫様の従者に見つからないように部屋を抜け出して、カモメたちのいるマストでダンスをしたりと、日が暮れるまで沢山遊びました。
友達と過ごす一日がこんなに楽しいなんて!ベットの中に入っても、ラメリの胸はドキドキしていました。
そしてお姫様と明日は何をして遊ぼうか考えながら、ラメリは眠りにつきました。
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