やんす

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 シシトラは、地面に倒れている黒猫の側へ近寄り話し掛ける。 「おい若いの、大丈夫か? 派手にやられたな」 「慣れっこなんで大丈夫でやんす。ここの猫社会では見えないほうが悪いんです。それなのに、盲目のあっしをどうして助けてくれたんですか」  黒猫の質問に、シシトラは首を傾げた。 「助けない選択肢があるのか? 目が見えないなら、尚更手を差し伸べることが当たり前だろ」  黒猫は驚いた様子で黒目の無い双眸を大きく見開いた。
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