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ああ、わからない。
どうしてこんなことになるのか、わからない。
――私、猫を殺しただけじゃない。人を殺したわけでも騙したわけでもない、なのに……!
車に撥ねられて、気づけば私はまた檻の中に戻っていた。
最初にいたのと、同じ場所。
私は全裸で、猫達に見下されて新聞紙の上で寝ている。閉じ込められた檻の中、ペットのように飼われている。人間としての尊厳など、何一つないままに。
「にゃ、にゃ?」
「なーう、なうなうなう、なう」
「にゃーう!にゃーにゃ、にゃっにゃ」
猫達は相変わらず、私の言葉など理解しない。ペットフードを差し入れて、愛玩動物のようにこちらを眺めて喜ぶばかり。
死んでも終わりなることなどない。時間がまた巻き戻るだけ。
私は彼らが満足するまで、服の一枚もないまま檻の中で飼われ続けるというのか。
――こんなの嫌、嫌、嫌!私そんな、悪いことなんてしてないでしょ!?お願い誰か、誰か助けて……!!
逃げる場所など何処にもない。
此処は、猫罰。
猫を私利私欲で殺した者が墜ちる、地獄。
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