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間話3…ルカイン・シーザス
「すまない…感謝する!俺の名前はルカイン・シーザス旅の剣士だ、君は?」
「ニーサと言います、主人から怪我人は介護しなさいと仰せ使っているので、急遽この教会に連れて参りました、彼方は私の双子の片割れのマーサ主人を同じくしてお支えする者に御座います」
それは主人であるアリスが買い物に領都へ行っていた間に起こった案件だ、可成り重度の怪我をして忘れられた町サミットで気を失い、ニーサとマーサが結界内の教会に連れて来た、悪意ある者は中に入れる事は出来ないが彼の様に悪意無い者は導く事が出来る様になっている、アリスが結界に判定の術を施したからである。
運び込まれたルカイン・シーザスと言う旅の剣士は雑木林の中で熊タイプの猛獣に襲われ怪我と引き換えにそれを倒した後、サミットに辿り着いて気を失った、目が覚めた彼は甲斐甲斐しく治療を施すニーサにこの場所について聞いていた所、ここは結界内に建つ小神殿の様な所であると聞いてホッとしていた。
「ニーサ、主人様が帰宅するわ、ちょっと行って来るわね!」
「お願いマーサ…この人の面倒は私が見てるから主人様にお伝えしておいて」
「はーい!」
ニーサはマーサにそう伝え、マーサは急ぎ主人であるアリスを迎えに行く、丁度結界を出るとアリスが到着していて両籠一杯の食材や素材を受け取るとニーサに言われた事をアリスに告げた。
「怪我人ね…状況は?」
「今の所、ニーサが看病して一応の危機は乗り越えましたが、何分傷口が少々深いので私達の力では止血するのがやっとでした」
「解ったわ、私がどうにかするから心配しないで」
「はい…主人様」
マーサの報告を受けてアリスは直様結界内の教会へ帰宅してベッドで落ち着いて寝息を立てる男を見る、見た目はそうでも無い、多分、ニーサやマーサの頑張りがこの成果を生んだのは間違いない、然し、やはりと言うか所々に魔法で止血した痕跡が残っている、アリスはそれを確認すると即座に対応する薬を作り出し患部に塗布した、この塗布薬は傷口の修復に最適な軟膏で、塗布してから翌日には綺麗に傷口は閉じ普通の肌に戻す事が出来る、アリスは幾つが残る患部にそれを塗り込むと一息吐いて椅子に座った。
「どうでしょうか…主人様」
「うん、大丈夫、これで問題はないわ、ニーサ、私は調合作業に入るから後をお願いマーサはお茶を頂戴、部屋に届けて」
「「畏まりました、主人様」」
(まぁ、目が覚めたら詳しく話を聞きましょう)
何の警戒も無く眠るルカインの姿を見届けるとアリスは薬の生成を行う調剤室に篭って行った。
その日は筒が無く終わり、翌朝、アリスが目を覚まして昨晩男の寝ていた部屋へと足を運ぶとニーサが彼の汗をタオルで拭い取り、マーサは飲み物を手にして部屋に現れる。
「体調はどうかしら?」
アリスの声に反応したルカインはその容姿に面を喰らい鳩が豆鉄砲を食ったような顔を見せる、ただでさえ美人姉妹に手厚い介護を受けていたのに、主人様と言われた少女は見目麗しく妖艶美的な容姿、双子を超えた美しさにルカインはタイムトリップしたが、すぐに我に帰ると口を開いた。
「貴女が、彼女達の主人…なのか?」
「ええ…彼女達は従順な部下ですよ、それより怪我の具合はどうですか?痛みなどないですか?」
「それは心配ない…痛みも何も今はない」
「それは宜しかったです、そうだ!これから朝食を頂くのでご一緒に如何ですか?」
「それは済まない…ありがたく頂こう」
「では、食堂の方へお越し下さい、強力な薬を使用しましたからもう歩いても大丈夫ですよ…えっと…」
「ルカイン…ルカイン・シーザス」
「わたくしはアリス・マリアベルです、では後程」
「ああ…伺う」
アリスはそれだけ言うと後の事を二人に任せ、一足先に食堂へと向かって部屋を後にした。
「ニーサ、私が変わるはお食事の準備をして」
「解ったわ、二人分ね…」
ニーサはそう言うと先に部屋を出て行く、マーサはルカインの様子を気遣いながら一緒に部屋を出た。
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