【第一部…ブラックカフス編】Prologue

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【第一部…ブラックカフス編】Prologue

「コラールの葉でしょ…アカハパネ実…カフォリーの花とケシミスの葉…っと、これで良し!本日の収集作業はこれで終わりね…帰ろーっと」 彼女の名前はアリス。 このグリーンヒルに立つ自然豊かな教会兼孤児院【ホワイトガーデン】に生活する名目上は孤児だが、扱いは客人だ、それと言うのもアリスには10歳以前の記憶が無く、今は女神官アルマの庇護の下【保護】と言う立場にあり、それでも2年住んでいるので、孤児と言う風にしてあった。 そんな彼女はこのホワイトガーデンの稼ぎ頭でもある、彼女は得た物から薬を作る事の出来る調合生成術を使えるしその目は森に自生する草花や木々、実等が何に使えるかを判定出来る、更には持ち前の身体能力の高さもあり狩猟すら出来る人物。 然し、彼女の肩書きはあくまで非公式の【薬師】であり狩猟等は彼女の序での副業である。 また、薬師としても有能で、集めた材料を薬品にする事は勿論、その薬品の効能は通常品とは異なり高く、贔屓で下ろしている町や村の薬店でもちょっと高価な扱いをされる品物として注目を集めている。 そんな彼女が薬師でチートな女の子になったのは10歳の時に見た不思議な夢。同じ容姿の少女と向き合って見つめ合っていたら… 『貴女にワルキューレの力を授けます!手を出して…ほら!は・や・く〜っ!!』 等と、実に如何わしい声のドッペルゲンガーが半ば急かして授けて来た、その日以来、アリスの身の回りは変化して行く。 先ずは常人では無い身体能力。 力は勿論、反射神経、移動速度、瞬発力に至る迄、側から見れば化け物かと思う位に向上した。 次に身体の中を巡る血流とは違う力、それは即ち魔法と言う物を自在に操るマナな流れ、これが無尽蔵に身体中を巡る様になった。 そして知識量。 これ迄は年相応な知識量だったアリスだが、あの夢から覚めると途轍も無い知識量になっていた、頭の引き出しが整理され、全ての属性魔法とその発動、一々長い詠唱等必要がない程に手を翳して単語を言えば瞬時に発動して仕舞う。 更には薬学の知識も飛躍的に身に付いた、森で手に出来る植物の何がこれ、これとこれでヒールポーションが完成する…等々云々を何故か覚えて居た。 果たしてこれらの力はあの夢で授かった聖戦乙女ワルキューレと言う女神の力なのか…そこは解らない、然し、彼女は確実に…基い急速にそんな成長を見せる。 だが彼女は言う。 「チートって何ですか?私は薬師ですし12歳のピッチピチで若い少女なんですが?」 ……と。 そう、彼女は急激に変化した自分を認めては居らず、あくまで非公式でも【薬師】と言うスタンスを貫いて居たのである。 だが、授かった力は間違いなくチートクラス、彼女をどうにかしよう物ならその相手の存在は恐らく何人たりとも消し炭と…化するのだ。
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