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8
那美は横浜の街を彷徨い歩いていた。どうしたらいいのかわからない。
もう、死んじゃってもいいかな?
そんな思いに囚われていた。足取りは重く、生きている感じさえしない。
気がつくと、ちょっと先で騒動が起こっていた。
あれは……?
目を凝らし、その中心にいる男性を見て息を呑む。
あの人だ。確か、富樫巧……。
彼が2人の男女を怒鳴りつけていた。少女を守っているらしい。
指名手配されているのに、あんなに目立ってしまっている。
少女を助けるために……。
那美の目から、自然と涙がこぼれ落ちた。
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