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 一年半後――。  富樫は横浜アリーナの控え室にいた。バンデージを巻き終わり、時を待つ。  「挑戦者、準備を」と声がかけられ、立ち上がる。  ゴタゴタはあったが、別のジムへ移籍した富樫は連勝を続けていた。  今、初めて世界へ挑戦する――。  控え室を出ると、そこには那美と悠香、気障男がいた。  悠香が「チャンピオンだよ」と笑った。  「うん」と応える富樫。「ベルト、とってくるよ」  「頑張ってください」と言う那美に笑って頷き、手を上げる気障男とハイタッチする。  そして、リングに向かって歩き出す。  プロボクシング世界ライト級最強の男と戦うために――。                        Fin
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