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 富樫はまた公園に来ていた。体も心もムズムズする。ほとんど毎日やっていたトレーニングをここ数日していない。  今更そんなことしてもなぁ……。  そう思いながらも、立ち上がり、軽くシャドー・ボクシングを始めた。次第に熱が入ってくる。  ふと、さっきまで座っていたベンチを見ると、少女がいた。  動きを止める富樫。小学校低学年くらいだろうか? 富樫をジッと見ていたが、目が合うとパチパチと拍手をし始める。  「すごい。チャンピオン、だね?」  少女が言った。  「い、いや、チャンピオンじゃないけど……」  富樫が頭を搔きながら、少女に近づいていく。  そろそろ夕刻だった。こんな時間に、こんな所で……。
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