2/2
前へ
/15ページ
次へ
 「どうしたの? 一人?」  富樫が聞くと、少女は目を伏せた。  「ええと、名前は?」  「悠香……。河合悠香(かわいゆうか)……」  「悠香ちゃんか。どこに住んでるの?」  その質問に、悠香は大きく首を振った。何度も、まるで何かを振り払うかのように。  ん?  富樫は悠香の首筋に、妙な傷痕を見つけた。よく見ると、それは一つではなかった。  「ちょっと、悠香ちゃん、ごめんね」  近づいて確かめる。  これは……!  火傷。おそらくタバコの火を押しつけられたものだ。それ以外に、腕に痣も見られた。  まさか?  「悠香ちゃん、背中も見せてくれないかな?」  少し躊躇う悠香だが、こくりと頷くと、後ろを向いてシャツをあげた。  息を呑む富樫。  背中に複数の痣、そして火傷の痕。  「もう、帰りたくない……」  悠香が俯き、泣き始めた。  富樫はどうしていいかわからず、しばらく見守っていた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加