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「どうしたの? 一人?」
富樫が聞くと、少女は目を伏せた。
「ええと、名前は?」
「悠香……。河合悠香……」
「悠香ちゃんか。どこに住んでるの?」
その質問に、悠香は大きく首を振った。何度も、まるで何かを振り払うかのように。
ん?
富樫は悠香の首筋に、妙な傷痕を見つけた。よく見ると、それは一つではなかった。
「ちょっと、悠香ちゃん、ごめんね」
近づいて確かめる。
これは……!
火傷。おそらくタバコの火を押しつけられたものだ。それ以外に、腕に痣も見られた。
まさか?
「悠香ちゃん、背中も見せてくれないかな?」
少し躊躇う悠香だが、こくりと頷くと、後ろを向いてシャツをあげた。
息を呑む富樫。
背中に複数の痣、そして火傷の痕。
「もう、帰りたくない……」
悠香が俯き、泣き始めた。
富樫はどうしていいかわからず、しばらく見守っていた。
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