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♢♢♢
こうして瞼が開かないようにしているのには理由がある。
つばきにはある“力”があった。そのせいでここに連れてこられた。
「呪われた瞳のせいで何もさせられないじゃないか」
深いため息と同時に聞こえたそれにつばきは違うと心の中で呟いた。
それは、つばきが物心つくころから始まった。
ある日、母親はつばきの目が緋色に光っていることに気が付いた。しかしそれはすぐに元に戻る。
緋色に光る時、決まってつばきは意味のわからないことを口にしていた。
つばきが6つになる時、西園寺家に仕える女中を緋色の瞳で見据えていった。
『真っ赤になって死んじゃうよ』、と。
最初は何かの冗談だと思い、母親はそのようなことを口にすべきではないことを伝えた。
しかし、その一週間後に女中は何者かによって殺害され亡くなった。
通り魔による殺人が後を絶たなかった時期だった。女中も同じようにして殺されたのだ。
母親は偶然だと思った。しかしそれが偶然ではなかった。
その一か月後、祖母を見たつばきはまた意味のわからないことを口にした。
『また死んじゃう』と。
周囲はもちろん母親も偶然だろうかと思い始めた。
その後、祖母は亡くなった。もともと心臓が悪かったこともあり、事件性はもちろんない。
しかし、西園寺家では瞬く間に噂が広がった。
―あの子の目が緋色に光り、それに見つめられた人は皆死ぬ、と。
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