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「俺はお前を友人だと思っている」
「どうしたの、急に」
「友人…いや親友であるお前のことは何でもわかっているつもりではあった。しかし、それは自惚れだった」
京は腕を組んだ状態で瞼を下ろした。
いつもとは違う雰囲気を醸し出す。張り詰めた空気が緩和されるのを待とうと思ったのに、京は続ける。
「お前、縁談の話を幾つも断っているようだな」
「うん、そうだね。それが?」
「好きな女でもいるんじゃないのか」
「……」
翔はふっと小さく笑って見せた。
そうだ、その通りだ、と翔は心の中で答えた。
まさか、親友である京と女の好みが一緒だったなど笑えない。
いや…好みは違うのかもしれない。そもそも翔は本気で人を愛した経験がなかった。
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