吞兵衛、夏凛の酔いどれ探偵、捕り物控  猫飼村 殺人事件

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   吞兵衛(のんべえ)夏凛(かりん)        の酔いどれ探偵捕物控(たんていとりものひかえ)  プロローグ  呑辺夏凛(のべかりん)の正体 このビルは、5階建ての築30年のおんぼろ ビルで、エレベーターは、一応あるけど 故障中の張り紙が張ってありここ何年も、 修理した形跡がない。 階段を上り、2階に僕が務めている、 と言うか世話をしていると言った方が良いのか あまり、はやらない探偵事務所がある。 事務所の入り口の扉には、ラミネート加工 されたA4のコピー用紙がガラスの所に セロテープで、張り付けてあり、 そこには、呑辺(のべ)探偵事務所と マジックで書かれている。 このビルには、うちの探偵事務所を 含めて合計6社の事務所が置かれている・・・ のだが実際に使われているのはせいぜい、 2ルームしかない。 僕は、この2階の一室をタダで借りている。 事務所用に作られているので中は、 かなり広い。どのくらい広いかと言うと、 テニスコート一面の半分くらいの広さだ、 何㎡あるかなんて僕にはわからない。 一度、夏凛さんに聞いたことがあるけど、 夏凛さんも 「そんなこと、知らねぇよ!お前が1人で 住むには充分だろ」 って言っていた。はっきり言って、広すぎる。 扉の横に、ベッドを置いて、ソファーと テーブル、テレビなどを、置いても楽に キャッチボールが出来るくらいだ。 冷暖房は、事務所と言うことでエアコンが 入っているので、夏も、冬も快適なんだけど、 この広さで一人はやはり寂しい感じがする。 僕がここに住むと言うことで、夏凛さんが 風呂場とトイレを部屋の中に建て増し してくれたんだ、だけど何で夏凛さんが、 このビルを所有しているのか僕には わからない、夏凛さんも、自分の事は 僕に何も教えてくれない。 おっと、僕の事を自己紹介しないとね、 僕は、関谷缶助(せきやかんすけ) 現在24歳の独身、 22歳の時、新潟から夢いっぱい 膨らませて東京に出て来たんだけど、 現実は厳しかった。 安ホテルに泊まりながら毎日、仕事探し・・・ 現実に打ちのめされていた、 そんなとき、小さな居酒屋で初めて 夏凛さんと出会ったんだ。 1人寂しくお通しの煮物で、ビールを ちびちび呑んでいたら突然、夏凛さんが 僕が呑んでいるテーブルに来て、 「きみ、仕事探しているんだろ、          私の所で働かないか」 いきなり声を掛けられた、何だ?、 この人は?、どうして、仕事を 探しているのをしってんだ? 頭の中は、はてな、だらけだった。 どうして、その事を知っているのか 聞いたんだけど関係ない答えが返ってきた。 「私は、野辺夏凛(のべかりん)(なつ)(りん)と、書いて 「かりん」だ。探偵をやっていて、 今助手を探しているんだけど 風呂、トイレ付きで、すんごく広い 部屋付きだ、どうかな、私の、 助手やらないか?給料もちゃんと出すよ」 と言っていた。
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