吞兵衛、夏凛の酔いどれ探偵、捕り物控  猫飼村 殺人事件

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缶助に起こされ、急いで着替えて 少しだけ化粧をして居間を覗いたが 誰もいなかったので、外に出てみた。 庭の畑に缶助とおばあさんがいた 「おはよう御座います」 「おはようさん、よう眠れたか?」 「はい、おかげさまで」 「夏凛さん、おはよう御座います」 「缶助、おはよう!今日もおばあさんの 手伝いよろしくな」 「わかってますよ、任せてください 夏凛さんもくれぐれも気をつけてくださいね」 「わかったよ、かっちゃんもいるし 大丈夫だよ」 そこにおじいさんとかっちゃんが カゴに沢山の野菜を入れて戻ってきた。 「夏凛、おはよう!僕は缶助君に 起こされる前に目が覚めて、おじいさんの 手伝いをしてきた所だ、美味しそうな 野菜ばかりだぞ」 「さてと、皆起きたところで きんちゃんのとこ行くかいの」 「じいさん!握り飯こさえといたから 猫間じいさんとこでみんなで食べれ」 「わがった、すまね〜な」 「ありがとうございます」 私とかっちゃんが同時にお礼を 言った。 そうして、3人できんちゃんじいさん の所へ向かうのだった。 じいさんの家に着くと、何やら独特な 異臭がしていた。 「この臭いがいぶし液の臭いだ くれぐれもいぶし液を身体や服に付けねえ ようにな、色も落ちねえし臭いも 当分落ちねえからな、きいつけろよ」 きんちゃんじいさんは大きな(かめ)中から 細い木を取り出していた。 「きんちゃん!おはようさん、 今日はよろしくな」 「お〜っ!おはようさん、 探偵嬢ちゃん達もおはようさん、 先に言っておくけんど、 いぶし液の扱いは、きいつけるんだぞ! 身体に付いたら、当分臭いが取れね〜からな」 「わかりました、充分気をつけます」 そのあと、きんちゃんじいさんが 納屋の中に入って行ったと思ったら 奥の方から、不思議な形の物を出してきた。
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