吞兵衛、夏凛の酔いどれ探偵、捕り物控  猫飼村 殺人事件

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「おじいさん、おばあさん、私からの少しばかりの お礼です、お世話になった分も含めて、受け取って下さいね」 「なんと!!こんなに!!いくらかかったんだべ!」 「お酒やお肉など、猫間おじいさんにも少し 分けてあげてください、お願いします」 「こんなにあったら、わしたちが死ぬまで 持ってしまうぞぃ!」 おじいさんが一升瓶を手にして 呑みたそうな顔をしている。 「そんだな、嬢ちゃんおめは、こんなに銭使って 大丈夫だか?」 「そんなこと気にしないでください、私達からの きもちですから」 「じいさん、きんちゃんとこさ、お酒と食べもんを 持って行ってやれや」 「んだな、どれもっていぐべ」 おばあさんが、じいさんの所へ持っていく物を 用意しだす。日本酒やら、ビールやら、肉やら 魚やら、一人で呑み食いするには、充分すぎるほど 出してきた。 じいさんは、それを風呂敷に包もうとしてたが 量が多すぎて、風呂敷では無理だった。 「おじいさん、僕の車で行きましょう、 夏凛、きんちゃんじいさんにもビデオの写真 確認してもらってくるからな」 「うん、お願い」 かっちゃんが、荷物を車に積んで猫飼じいさんと、 きんちゃんじいさんの所へ向かう。 お恵ばあさんにコンビニでの店長とやり取りの末 猫飼村では、携帯がつながらないので こちらの家の電話を教えてしまったことを伝えると 「いくらでも使え、どうせ子供たちが電話 よこしたときくらいしか使ってないんだから」 と言ってくれた。 そこで、ビデオに写っていた男性に心当たりが ないか、写真を見せた。 おばあさんに、見てもらったが顔が 余りよく写っていないので、分からないとのことだった。 ********************** 猫間じいさんの所に酒や食料品などを降ろすと 「こげに、たくさん貰っちまっていいのけ? こりゃ、わしが死ぬまで食べるのに困らんな」 猫飼ばあさんと同じことを言っていた。 「探偵事務所からのお礼ですので まだ、これからもお願いすることが出てくると 思いますがよろしくお願いします」 「うん、うん、何でも言ってくれや」 「すみません、早速なんですけど、両おじいさんに みて頂きたい写真があるんですが」 「何の写真じゃ?」 「はい、コンビニのビデオに写っていた 人なんですけど、この人に見覚えなどないですか?」 両じいさんに写真を見せる。写りがあまり良くなく 角度が悪くて良く解らないとの事だった。 また、他に何かを探さなければいけないようだ。 お茶をごちそうになり、猫飼家にもどる。 次はどうするかを夏凛と相談しなければ・・・ 先が思いやられる、やはり50年も昔の事など わからないのか。 何とも、もどかしかった。 *********************** 皆で夕飯を食べていた、夜の7時を過ぎた頃、 猫飼家の電話が鳴った。 あの、コンビニのオーナーからだった。 オーナーの話では、あのレシートの日付の2日前の 映像に同じ服を着た、あの男性が写っていた との連絡だった。前に同じ服の男性を見たような気がして ビデオを根気よく見ていったところ、あの男性が 電池をたくさん買っていった、とのことだった。 明日の10時頃にまた、伺うことを約束して 電話を切った。
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