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「かっちゃん、電池を大量に購入したということは
あの部屋の、懐中電灯や電池式のランタンに
使うものじゃないかしら」
「そうかもしれないな、あの時書机の上に
封がしてある、新しい電池がたくさんあった。
その電池かもしれない、
とにかく、明日もう一度オーナーに会いに行こう
そうと決まれば、何だか少しだけ元気が出てきた
実は、やっぱり50年も前の事なんて無理なのかな
なんて、考えたりしてたんだ。
最悪、あの部屋にいつ来るか解らない者を
張り込んで待つしかないのか、なんてね」
珍しくかっちゃんが気弱な事を言っていた。
「おじいさん、私少し気になっているんですが
村長のお妾さんの子供って今何歳くらい
なんですか、あの部屋にいた人物って
その人なんでは?なんて思ったものですから
それに、あのノートに書かれた
「おやじごめん」の文字、あのおやじと
言うのは、村長さんのことではないでしょうか」
「嬢ちゃんもそう思うか?
わしも、気になってたんじゃが、あのノートに
書かれていた「おやじごめん」の文字
もしかしたら、正雄じゃないかなんて
思ってたんじゃよ、正雄にすれば
村長は、おやじじゃからな」
その時、また電話がなった。
おばあさんが出るとそれは、猫間じいさんだった。
じいさんが、私と代わってくれと言ったらしく
私に受話器をわたしてくれた。
「探偵嬢ちゃんか、昼間は、あんなに沢山
もろてすまんかったな、ありがとさん。
そいでな、わし思ったんじゃが、あの部屋に
ノートがあったな、「おやじごめん」と書かれたやつ
あれな、わし正雄じゃなかんべかと思ったんじゃ」
「今も、丁度その話をしていた所なんです。
猫飼のおじいさんも、同じことをいってました。
でも、その正雄さんって今おいくつぐらいなんですか」
「そうじゃな、あの事件の時は15歳くらいじゃったかの
利ちゃんにもきいてみれ、確かそのくらいじゃ
今は、あれから50年ほど経っているから65歳くらいかな」
「わざわざ、ありがとうございます。
あしたまた、伺いますので」
電話を切り、猫飼じいさんに
「猫間おじいさんも、今電話でおじいさんと
同じことを言ってました。正雄じゃないかって」
「きんちゃんも、そう思ったなら間違いなかろうな
正雄が、あの家にいつの間にか戻って来て・・・
一体、何をしているのか解らんがな・・・
まあそげことは、あすたあすた、今は食え!呑め!
嬢ちゃんが沢山買ってくれたで、久しぶりの
普通の酒じゃ!やっぱりうめ~な~」
「私達は、おじいさんのどぶろくの方が
美味しいですよ、ねえ、かっちゃん、缶助?」
「ほんとです、このどぶろくは最高ですよ」
かっちゃんが、お猪口をくちに持っていく。
缶助も大きく頷いて
「そうですね、今まで飲んだどのお酒より
おいしいです」
事実、私の今まで呑んできた、どのお酒より
一番といってもおかしくなかった。
香りがよく、味も良く最高のお酒だった。
「この牛肉も、ほんにうめ〜な〜」
じいさんが舌鼓を打ちながら
牛肉を頬張っていた。
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