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じいさん達は、またたびを大きな袋
に詰め私達は、すぐに出発した。
猫下の家は、車で10分もかからない
所にあった。
比較的家は他のに比べ、まだ綺麗だった。
家の玄関の前まで車をバックで乗り入れた。
どうやら、猫はまだいないようだ。
雨がポツリポツリ降って来た。
「雨が降ると猫達は、外によう出てこねえ
家の中にいるかもしれねえがな」
玄関の鍵を確かめる。
鍵が掛かっていなかった。
中に入ると埃が溜まっている廊下に
人の足跡があった。
沢山の猫の足跡もある、誰かがいるような
気配がする。
かっちゃんが先頭に立って
静かに進んでいく、一番奥の部屋から
灯りが漏れていた、
明らかに誰かいるようだ。
かっちゃんがその部屋に静かに近づく、
そして、勢いよくドアを、
「バタン!!」
と大きな音と共にドアが開く。
中には、1人の初老の男性が横たわっていた。
私たちに、気づいていないのか、
そのまま横たわっている。
男の横には、茶色い小瓶が倒れていた。
周りには、嘔吐したような液体が飛び散っていた
部屋中に何となく酸っぱいような、においが
漂っていた。
かっちゃんが男の首筋に触れた。
「まだ、息がある!夏凛!すぐに病院に
運ばなくては、命が危ない!
脈がだいぶ弱くなっている!」
「これは、農薬だな、あんちゃん
周りに吐いた跡があるから、
そげに、身体には吸収しておらんじゃろ
あんちゃん、水持ってるか?」
「はい、車の中にあります」
「すぐもってこい」
「わかりました」
かっちゃんが、すぐに水をとりに行き
戻ってきた。
猫間じいさんが、正雄!正雄!と呼び
顔をはたきながら、
水を少しずつ飲ませて行く。
半分くらい飲ませてから、口の中に指を入れて
また吐き出させた。
これを二回ほど繰り返すと、男性の
意識が戻ってきた。
「正雄!おめ、正雄だな!」
「あんた、誰だ?」
「わしは、村のもんじゃ!安心せい!
すぐに病院に連れてってやるでな」
「余計なことせんでくれ!俺は死んで
皆んなに詫びを入れるんだ!」
じいさんが、すぐに病院に連れて行こうと
言った時
男が、「やめてくれ!俺はもう生きていたくない
生きていても、俺は何もできないんだ!」
しかし、じいさんは男を布団で包み
車に乗せろと、かっちゃんに指示を出す。
車まで担いで行き直ぐに病院へ行く。
かっちゃんが車を飛ばす。
30分ほどで、救急病院に着いた。
猫間じいさんが状態を説明して
猫飼じいさんは、農薬が入っていた小瓶を
医者に渡した。
1時間程して、医者が私達の元に来て
説明する。
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