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初めての宇宙戦闘
「緊急発艦だ! ミク! 行けるか?」
操縦席に管制主任の声が響く。もう私は首のカチューシャをONにしてF52との同期を終わらせていた。F52は全高15メートル、連邦の最新人型機動兵器で、二機の縮退炉により重力制御で飛行出来る。今日の兵装は両手の重力レールガンだ。
「はい、行けます!」
そう言いながら、全天360度モニターの表示を見つめる。前方で母艦の発進口が大きく開いていく。その先には綺麗な地球の姿が覗いている。そう、ここは宇宙空間。この任務は私にとって『初めての』宇宙戦闘になるんだ。
「敵艦は高度150キロ、今、二機の艦載機を発艦させた。無条件の攻撃を許可する!」
「了解です! 行きます!」
その瞬間カタパルトが作動し、私のF52が母艦の前方に射出された。
「わぁ! 綺麗!」
モニターの正面が真っ青な地球の姿で一杯になり、思わず声を上げる。モニターの後方に映っていた母艦があっという間に点になった。
『ポン!』という音と共に、モニターの左上方に三つの菱形が表示される。
「人民軍の空母と二機の機動兵器……。でもこの反応は……もしかして新型」
重力制御により50Gを掛けて、会敵ポイントへ向かう。相対速度は秒速二十キロを超えた。
敵の二機は水平方向に散開し、こちらに相対速度を合わせ様としている。左右から挟み撃ちを狙っているのだろう。
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