34人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
ゲームの真実
彼の機体が船内に入って三十秒程だった。突然、緊急警報が鳴り響いた。
モニターにはビルの機体の脱出ポッドが射出された表示が見える。
その瞬間、船体から球体のポッドが飛び出して来た。
「あれが、彼の脱出ポッド……。ビルを助けなくちゃ」
機体を操り、脱出ポッドを両手で捕まえた。
ビルの声が聴こえる。
「ありがとう、僕の機体は失われてしまった。君の機体に乗り移りたいから、ハッチを開けてくれるかい?」
私は驚いていた。だってこれはゲームの操縦席で、私は日本に、ビルはイオニアだっけ? 彼の国に居るんでしょう?
「ビル。それは無理よ……。えっ?」
その時、彼の脱出ポッドのハッチが開き、中から与圧服を着た男性が出て来た。
「……そんな、これもCGなの?」
でも直ぐにそれは間違っていたと分かる。操縦席のハッチを外から叩く音が聞こえる。
「……だって、まさか……?」
私は恐る恐る操縦席ハッチを開ける操作をした。減圧が終了しハッチが開いて行く。ハッチの外には本当に男性が浮かんでいる。そして男性の背後は厚木の格納庫でなくて、信じられない事に真っ黒な宇宙空間が広がっている。右上にはラクティアの船体も見える。
その男性は操縦席に入って来ると、パネルを操作してハッチを閉じた。与圧が終了すると彼がヘルメットのシールドを上げた。私もシールドを上げる。
「やあ、ミク。やっと会えたね」
私はまだ何が起こっているのか理解出来なかった。
「本当にビルなの。そしてこれはゲームじゃなくて、私達は本当に宇宙に居るの?」
「そうだよ。テラの能力者の僕と地球の能力者のミクの二人で、ラクティアを止めるのが任務だろう?」
未だ信じられなかった。どうしてこんなことに……?
最初のコメントを投稿しよう!