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その時、私の耳に声が響いて来た。
「高橋さん、橘だ。聴こえるか?」
安曇重工の副社長の声だ。
「はい副社長、聴こえます。でもこれはどう言う事ですか?」
「君に真実を伝えず申し訳なかった。もう気付いていると思うが、君が乗ったのは、テラで開発された本物の機動兵器だ。そしてゲームのシナリオとして説明した内容は現実の事だ。反地球は存在し、暴走したラクティアが太陽と衝突すると、テラと地球が滅亡してしまう。君達二人が最後の希望なんだ」
「そんな……」
「地球では君が出発した後、各国政府から今回の地球滅亡の危機が全世界にアナウンスされた。そして君達二人がその解決に向かっている事もだ」
「でも、それなら、どうして出発前に本当の事を?」
「君が辞退する事を恐れたのだ。それは地球滅亡と同義だからね。そして、この事は川田総理から君の両親にも伝えられている」
「……それでも、教えて欲しかったです……」
「本当に申し訳なかった。でも君達の任務の成功を全世界が待ち望んでいるんだ。君を騙した僕が言うのはおこがましいが、頑張ってくれ」
「分かりました。やらなければ死ぬだけですものね。私の力でみんなが助かるなら、頑張ってみます。ビルと一緒に」
そう言いながらビルを見ると、彼が大きく頷いた。
「ありがとう。もう一度、グッドラックと言わせてくれ」
地球との通信はそれで途絶えた。
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