プランB

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「ビルはテラ人なのね。本当に地球人と同じなんだ。で、どうするの? 貴方の機体は壊れたんでしょ?」 「ああ、あの船の縮退炉室は滅茶苦茶だ。激しい重力風でキングストン弁まで近づけない」 「他の方法は? プランBは?」 「ああ、少し危険だけど、この機体と一緒にラクティアを空間跳躍(スペースリープ)させるしかない」 「えっ、そんな事出来るの? どうやって?」 「この機体の#1縮退炉のキングストン弁を抜いて縮退炉を暴走させる。ボイド効果で縮退炉がマイクロブラックホール化する直前に#2縮退炉の磁気拘束でマイクロブラックホールを高速円環運動に入れる。重力場ミラー効果で機体の半径100キロを空間跳躍(スペースリープ)させる事ができる」 「分かった。その作戦は何かリスクがあるの?」 「通常の空間跳躍(スペースリープ)じゃないから、どこに跳躍(リープ)アウトするか分からない。場所によっては地球に戻れないかも……」 「でも、他に方法は無いのよね。失敗すれば私達は死ぬしかないんだから……。やりましょう」 「そうだね。ミクありがとう」 「それじゃ行くわ。#1縮退炉全力運転。キングストン弁開放!」  縮退炉が『ブーン』という音から『キーン』という激しい音を上げ始めた。 「#2縮退炉全力運転、磁気拘束回路へ接続準備! 3、2、回路接続!」  その瞬間、太陽へ3億キロまで接近していた私達のF52はラクティアと共に空間跳躍(スペースリープ)した。
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