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パワードスーツ・シミュレーター
母艦に帰投した私は操縦席のドアを開けて外に出た。
その瞬間、激しい歓声に迎えられる。
「美空、やったね!」
親友の紗香が出迎えてくれている。私は彼女とハイタッチした。
その場所は、激しい拍手の音と祝福の歓声に包まれている。振り返ると球体の機械のドアが開いていて、その中には私が先ほどまで座っていた操縦席が見える。そのドアの前には列が出来ていて、私の貸し切り時間が終わり、丁度、次のプレイヤーが乗り込む所だ。
そう、ここは横浜市に先月オープンしたばかりのゲームセンター。体験系を中心に様々なゲームが設置されているが、今の一番人気は、この機動兵器シミュレーター。安曇重工が開発したこのゲームは世界二十ヵ国、八十台が同時に設置され、日本には横浜と、東京と大阪に設置されている。世界中の八十台を超高速回線で接続し、対戦を可能としていて、今日、私が戦ったのもモスクワに設置された機械のプレイヤーとだった。
私は紗香に誘われて、オープン三日目にこのゲームに挑戦したのだけど、いきなり世界第一位を叩き出していた。
ただの十八歳、大学生の私にそんな才能があるなんて思ってもみなかったけど、世界一の称号は私をこのゲームにのめり込ませた。
そして今日、世界王者大会が在り、私は並み居る強豪を打ち破り、『初めての』の世界王者となったんだ。
他のeスポーツの様に、大々的なイベントじゃなかったから、そのイベント時間だけ、機械を貸し切っての世界大会だったけど、このゲームセンター内は未だ歓喜の渦に包まれていた。
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