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リアルモデル
安曇重工厚木研究所。私はその施設の東側にある実験棟と呼ばれる建物に案内された。建物のロビーを抜けて三階に上がると、左側の両開きドアの前まで歩く。
「ここは?」
「特別会議室です。中で橘副社長がお待ちになっています」
彼女がドア開けると、その部屋は二十名程度が入れる会議室だった。会議席の一番奥の男性が私を見て立ち上がった。
「初めまして。副社長の橘です」
「高橋美空です。お会い出来て光栄です」
そう応えると、彼は満面の笑顔で頷いている。
「こちらこそ。それじゃ山本さん、後は私が案内するから、秘書室で待機していてくれ」
その声に山本さんは退室していった。
「それでは高橋さん。私に付いて来てくれ」
そう言うと副社長は、入口と逆側の両開きドアに向かった。彼がそのドアを開けると、そこは驚きの光景が広がっていた。
「えっ? これは機動兵器F52ですよね?」
そこは格納庫になっていて、私がゲームの中で操縦していた人型機動兵器の原寸大機体が置かれている。
「そうだ。リアルさを増す為、ゲームの環境をあの機体の中で再現したんだ」
流石、安曇重工。ただのゲームをここまで造り込むなんて。私は再びワクワクしていた。これ乗ってみたい!
「新しいシナリオも組み込んでいる。試してみるかね?」
その言葉に私は大きく頷いていた。
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