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ゲームのシナリオ
会議室に戻ると、副社長がゲームのシナリオの説明してくれた。
「このゲームの世界では、太陽の反対の公転軌道に超技術を持った人類が暮らす反地球が存在する。彼等は百年前には地球を訪れていて、彼等と地球人類のDNAが全く同じという事を発見するが、何故同じDNAを持った人類が遠く離れた地球で暮らしているかは謎だった。彼等は地球を監視していたがお互いの為に地球人類とは接触しない様にしていた」
「テラは外宇宙への進出を計画し『初めての』恒星間宇宙船ラクティアを進宙させて、その艦載機として精神感応制御の機動兵器を開発した。しかしテラにもこの機動兵器の適格者が五名しかおらず、その全員がラクティアに搭乗して、隣の恒星系であるプロキシマbを目指した」
「探査は無事終了しラクティアは帰還に入ったが、太陽系外縁で縮退炉が突然暴走し、ラクティアは全ての搭乗者を失ってしまう。そしてそのまま亜光速で太陽に向かい始めてしまった。科学者の解析によると、亜光速のラクティアが重力制御最大のまま太陽と衝突すると、超重力崩壊が起こり太陽がブラックホール化してしまう」
「亜光速のラクティアに接近出来るのは縮退炉を搭載した機動兵器だけだ。しかし機動兵器の適格者はテラに一名が見つかっただけだった。バックアップを考えるとあと一名は必要だ。この為、テラは地球に『初めて』接触して来た。同じDNAを持つ地球人類の中から適格者を探す為だ。地球はこれに協力するしかなかった。太陽のブラックホール化は地球滅亡と同義だからね」
「そして適格者としてこのゲームのプレイヤーが選ばれ、テラの適格者と一緒に亜光速のラクティアを止めるんだ。どうだい面白そうだろう?」
私のワクワクは止まらなかった。亜光速での作戦なんて凄い!
「はい、このシナリオを先ほどの原寸大機体の操縦席に乗ってやるんですね。楽しみです!」
「それじゃ、リアルさを増す為、与圧服に着替えてくれ。そしてこれを」
そう言いながら彼はワイヤレスヘッドホンを渡してくれる。
「これは?」
「自動翻訳機だ。君と一緒に他国のプレイヤーが参加するが、この任務は、もう一機との連携が重要だ。言葉の壁を超える為の装置さ」
大きく頷くとヘッドホンを両耳にしっかり挿入した。
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