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ゲームスタート! 宇宙へ!
その十五分後、私は与圧服を着て原寸大機体の操縦席に座っていた。縮退炉からと思われる何かの作動音もしていて、とてもリアルだ。
「それではゲームの画面に移行するよ。2、1、GO!」
その瞬間モニターに格納庫が表示される。
「えっ? これゲームのCGですか? 格納庫が映っていますよ」
「これは勿論CG画面だ。リアルさを出す為に、格納庫をモデリングした。上を見てくれ」
格納庫の上部ドアが開いていく。その先は青空が広がっている。
「調和モードに入ってくれ」
首のカチューシャを通じて機体と同調する。しかし私は衝撃を受けていた。頭の中にモニターと同様な景色が見える。本当に機体と同調しているんだ。ゲームセンターの機械では調和モードと言っても、それはスクリーン上の敵が拡大表示されるだけだった。
「驚きました。本当の調和モードを実現しているんですね?」
「これが最新のVR環境さ。さあ、ゲームスタートだ。まずは衛星軌道に上がってくれ。君のパートナーが待っている。グッドラック!」
大きく頷くと、縮退炉を全力運転に移行させた。
「行きます!」
その瞬間、私の操縦する機動兵器F52は格納庫を飛び出し、50Gで垂直上昇を開始した。あっという間に空が青から黒い宇宙空間に変わって行く。
「あっちね」
頭の中にパートナーの位置が表示される。その方向にF52を加速させた。
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