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ラクティアを止める!
次の瞬間、私のF52は跳躍アウトした。先程まで綺麗に見えていた蒼い地球は無くて、周りは真っ黒な宇宙空間が広がっている。
横に彼の機体が浮かんでいる。
「ここが……」
「太陽系の外縁。地球から260億キロ離れた場所さ。ラクティアの反応、見えるかい?」
私は頷いていた。目標との距離は約十億キロ。
「最大加速に入るぞ、縮退炉全力運転!」
その瞬間、彼の機体が急加速し、あっという間に見えなくなった。私もF52を最大加速に入れた。加速度は970G。直ぐに周囲の星の光が前方に集まる星虹が始まり、三十分程で全ての光が前方の一点に集まった。機体は五十分強で光速の99%に達した。エーテルの流れで機体が大きく揺れる。
左側に真っ白な船体が見えて来た。
「あれがラクティア……。居住区が全て失われている」
ビルの声に船体をズームする。前部の損傷は甚大だ。
「どうやって船を止めるの?」
「ラクティアの縮退炉出力はF52の千倍だ。縮退炉の暴走を止めるしかない」
「でも制御していた居住区を失っているわ。どうやって?」
「F52で縮退炉室に入って、キングストン弁を抜いて縮退炉を重力崩壊させる。まず僕がトライする。僕が失敗したら君がバックアップだ。」
「了解、気を付けて」
彼のF52は損傷部から船体内に入って行った。
「……ビル、頑張って」
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