『青椒肉絲』

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『青椒肉絲』

黒田さん、井澤さん、柏崎さんの歓迎会が行われた。 北野さんと南田さんはなんだかんだ言っていたけど、結局また「来来軒」に行くことになった。 前回は4人での歓迎会だったが、今回は7人。 円卓には沢山の料理が並び、歓迎会は盛り上がった。 柏崎さんは見た目通りの酒豪だったが、石丸さんもそれに負けてなかった。 みんな程よくお酒が回り会話が弾んでいた。 「石丸さんどんな髪型にするか決めました?」 「いいえ・・・とりあえず伸ばし始めます」 「え?石丸さん髪型変えるの?似合っているのに」 「顔が怖いとみなさんに言われるので・・・・」 「係長、小籠包追加しても良いっすか?」 「黒田くんちょっと太った?」 「やっぱわかります?こっちいっぱいうまいラーメン屋があるから・・・」 「井澤さん、峯田さんと会いました?」 「いや・・まだ」 「え?後輩なんですよね?」 「うん・・・まあ・・・・・」 取り止めのない会話で盛り上がり、時間は過ぎていった。 「あ・・・最後に青椒肉絲食いたいな・・・・」 「頼みましょうか?」 「じゃあ、俺五目タンメン食べたい」 「ほんと毎日ラーメン食ってません?」 「瓶ビールもう一本追加して」 注文をして待っている間に坂本が話を始めた。 「青椒肉絲で思い出したんですけど、最近色々調べてたら『青椒肉絲』って呼ばれてる半グレがいるみたいなんですよね」 「ダサい名前っすね」 「名前の通り中国系のグループらしいんですが・・・データがものすごく少ないんですよね」 「『まるア』のリストにも一人もいないし、何個か取り調べの記録があったんですが、名前も偽名っぽいし、そもそも入国のデータもないんですよね」 「密入国者ってこと?」 「取り調べの内容確認したんすけど、日本の半グレ5人に1人で大立ち回りして、3人病院送りにしてるんですが、取り調べを受けてたんですが、被害届が取り下げれて、すぐに釈放されてんです で、監視カメラのデータを取り寄せて分析してたんですけど・・・・」 「けど?」 「うまく分析できないんです。いや・・・ある程度は分析できたんですけど」 「けど?」 「まだ推測ですけど、人間ではないと思います、そして僕たちみたいなタイプのアンドロイドじゃない」 「新型?ってこと」 「いえ・・・彼らは密入国じゃなくって、密輸されたんじゃないかって」 「どういうこと?」 「呼び方はどうでも良いかもしれませんが、僕らみたいな人間ベースのアンドロイドじゃなくって・・・完全な機械。うーん、ロボット?」 「ふーん、面白い話じゃん。」 「まっとりあえず、青椒肉絲食おうか」
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