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羽毛に触れるように薄く触れる。指の腹で蕾を揉み込み、碧の太腿がびくりと震えた。碧が首を伸ばし佐良の唇を舐め、軽く合わせた。
ひとつめの関節までは簡単に受け入れた。ふっと力を抜き、飲み込んだ瞬間に揺らめき、目を細める碧の表情が佐良をもう一段ざわつかせる。碧は眉を寄せ、熱い内側は佐良の指を締め付ける。指一本でも狭いのは誰にも触れられていない証左で、佐良だけを受け入れようとしている碧がいとおしくなる。
隣の部屋で古いエアコンがごうごうと冷気を吹き出していたが、身体を冷ますには間に合わなかった。密着する肌の間は汗で張り付き、甘い匂いが濃く香る。碧は唾液を交換しながら力を抜くために息をつく。昨夜のような拒絶する感触はない。内腑を探るのは心を確かめるのに近いと思う。指先が奥にあたり、埋めたまま唇を擦れ合わせる。壁の馴染んだ感覚を確かめてから指を波打たせると、碧が腰を浮かせた。
「これ、好き?」
「……知ってるくせに」
とろりと顔を上気させて仏頂面になりきれない碧を見ていると、笑ってしまいそうになる。
「もっと欲しい?」
「……っ」
答える代わりに碧が佐良の肩を掴んだ。足の甲がシーツを擦る。内側で指を揺らしてやると今度は肩口に顔を伏せた。
「声、我慢しないで。聞きたいな」
「や……」
「もっと聞かせて」
「あ……佐良」
涙をにじませ蕩けきった表情で佐良を見た。ゆりかごを揺らす程度の刺激でも碧は短く声を上げ続ける。唾液でふやけた唇を吸い、熱い舌を絡め合った。細い喘ぎが少しずつ高まっていく。
「佐良……ぁ」
形をとどめないアイスクリームのような声で懇願する。碧は佐良の胸に額をつけ荒く呼吸を繰り返した。どちらのものともわからない汗と蜜で腹のあたりがぬるついている。
「どうにか、なりそう」
別の手のひらを太腿の内側からすべらせ、下腹部を下からなぞりあげる。体液のぬめりを借り硬い場所を擦った。しがみつく碧の指が背中に食い込む。
「あ……あ……っ」
快感が唇から漏れ出し流れ出る。焦らされ待たされたそこは佐良の手の中で硬さを増し、解放をせがんだ。指から伝わる熱さが佐良の肌や芯へも微量の電流を通しているようだ。
「そこ……」
「ここでしょ」
「だめ……っ」
「もっと?」
碧が身をよじり指が煽動するひだに締めつけられた。内側の快感を予測して自分の下肢の間も反応する。佐良は耳の下に唇を寄せ、舌で撫でた。耳孔には触れない。碧はここをなぞられるのが嫌いだ。乱れた息が何度も佐良の首筋にかかる。
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