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仰向けになった碧の膝を開き、奥まった窄まりに自分をあてがう。難なく先を飲み込んだ。慎重に奥へと進む。入るごとに締めつけられ危うい波が来る。
「碧、つらくない?」
「大丈夫」
そう言いながらも碧は圧迫を感じるのか苦しげだ。汗が碧の胸に落ちる。狭いトンネルを匍匐前進しているように道のりが長い。ゆっくり、と何度も碧にささやいた言葉は自分へも向けている。腰を抱いてぐっと全部を押し込み、大きく息を吐いた。中心が脈打って全身から血が注ぎ込まれる。すぐにでも動きたいところだったが、そろそろと身体を動かして碧の顔の横に肘をついた。
碧が手を伸ばした。ゆっくりと身体を伏せ、上から抱きしめた。
「佐良、俺の中にいる」
「いるよ」
碧のささやきは佐良の全身を柔らかなベールのように包んだ。碧を抱いているのだという安堵が降りた。やっと碧を抱けた。ずっとこうしたかった。
「佐良、好きだよ。大好き」
「俺も好きだよ。愛してる」
なにも考えず言葉がすべり出た。
自分のものが碧の熱い襞に抱かれ、自分の腕が碧の身体を抱きしめている感覚を、それ以上の言葉にできない。
ほんの少し息を呑んだ碧は、腕の中でうん、と小さく頭を動かした。
「愛してる」
まなじりへのキスは少し塩分を含んでいた。目を閉じてささやかな吐息を漏らす。まぶたの端からこぼれた水滴をもうひとつ掬い取った。
内側が自分の形に馴染んでいき、佐良は碧を抱きしめたまま腰を揺らした。温かい波に揺蕩う。碧は腕の中で佐良の形に溶ける。髪も肌も指も、唇も舌も、息も体液も、全部甘く溶かされていく。目を閉じると自分も溶けて混ざり合っていく。
「これ……結構くる」
「いい?」
返事はないまま腕の中で碧が蕩けていく。短く声を零し、間隔が短くなった。
「あ……あ、佐良」
腕の中で碧が締め付けられ、危うく解放しそうになるのを耐えた。碧の中心が立ち上がりしどけなく蜜を零れる。悩ましい表情が佐良を煽った。碧を仰向けに横たえ、見下ろした。
「好きなようにして」
腰を引き、突く。碧は艶めき潤む目をわずかに歪めた。堪えきれないくらい全身に熱が巡っていた。抜き差しするたびに擦れる場所から濡れた音が立つ。碧の乱れた声が絶え間なく上がった。
絡めた指が汗で滑り、お互いに強く握り合った。佐良の形を覚えた内側がたまらないほどきつく締め付ける。摩擦が酸素を薄くし、息が上がるのに律動はいっそう激しく早くなった。
涙目で碧が見上げる。汗が飛び散りばたばたと碧の胸に落ちた。擦れ合う場所が熱い。気を抜くと我を忘れそうなほどの快感が佐良を支配しようとする。もうだめだという瀬戸際まで来たとき碧の張り詰めた声が高くなり、悲鳴をあげた。
「も……だめ……っ」
碧が一気に放出し、襞が奥まで埋まる佐良を絞りあげるように締めつけた。佐良はきつく目を閉じ、耐えきれず快感とともに膜の中に吐き出した。
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