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「ヒガタ、あとミルトも。来て早々悪いのだがこれから保護施設に行ってくれ」  翌日、昨日は夜遅くまで働いたから今日は休日になる、ということはなく就業時間ギリギリに事務所へと到着した。  おはようございます、と事務員や同僚に挨拶をしていた矢先、所長から保護施設へ向かうよう命じられた。  所長について紹介しよう。俺の上司でもある彼女は俺がここに来る前、軍に所属していたときの上官だ。今から6年前……、軍がなくなる2年前に退職しこの何でも屋のような会社を設立したのである。  彼女曰く軍の需要はそろそろなくなりそうだったから軍人が路頭に迷わないために作ったらしい。彼女の予想通り軍は解体された。軍がなくなり路頭に迷いかけていた俺を雇ってくれた彼女には頭が上がらない。 「はい、ですがどうして私とミルトなのでしょうか」  別に他の人でもいいはずだがどうしてなのかふと疑問に思ったのだ。 「向こうからの指名だ。何でもお前たちに会いたがっている人がいるそうだ」  何となく察した。ミルトが呼ばれた理由はレヴィン、俺の方はあの青年が会いたがっているのだろう。行ってこいという命令を遂行するためミルトと2人で彼らのいる保護施設に移動することになった。
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