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ミルトたちとそろそろ合流しようと考え彼らを探すことにした。辺りを見ても彼らの姿はない。まだグラウンドにいるのだろうと外に出た。  グラウンドに到着すると野次を飛ばす人だかりができていた。その中心に彼らの姿はあった。時間的にも余裕があったのでしばらく彼らの戦闘を見ることにした。  初めに仕掛けたのはミルトで蹴り技を繰り出た。顔面に直撃しそうに思われたがレヴィンはそれを腕で止め反対の手で腹部にめがけて突きを入れる。  腹部に食らった拳で倒れ動けなくなったと思われたミルトであったが、続く2発目の拳は横に転がることで避けることができた。そして態勢を直そうと起き上がった。  蹴りや拳が何度も繰り出され、やじ馬も盛り上がりを見せてきた。お互い間合いを取り相手の出方をうかがっているようだ。そろそろ頃合いだなと俺はやじ馬をかき分け彼らに1番近い場所に移動した。 「2人とももう終わりだ」 パンッと両手を大きく打つと2人はこちらに気が付いた。 「ええー、ヒガタ先輩いいところだったのに!」  ミルトの不満そうな声が聞こえてくるがそれを無視して2人の間に入る。どちらも顔や足には土が付いており服は汚れていた。 「これ以上はやめておけ。施設を墓視したいのか」  ミルトはどうしても熱くなりやすい性格であるためこれ以上白熱すると周囲を見境なく攻撃してしまう恐れがあった。 「まだ物足りないかもしれないが、シャワーを浴びていたら戻る時間になるだろう」  土や砂ぼこりまみれになっている彼らを一瞥し行ってこいと言うと二人はシャワー室まで競争だと学校に通う子供がやるようなことを言い出し、シャワー室まで廊下を走っていった。  廊下は走らないで、という看護師の叫び声が彼らが走り去った廊下に響いた。遠くからごめんなさい気を付けるっす! とここまで元気のある声が返ってきたが走ることをやめるつもりはなさそうだった。  
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