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 昼休憩の時間になった。取り組んでいた事務作業の手を止め、昼食を食べることにした。  鞄から今朝クルハが作ってくれた弁当を机の上に広げる。2段になっている弁当箱だ。蓋を開けると中にもう1つ白い蓋があり中身は見えない。外からは見えない箱に入ったものに期待と、少しの不安料理の内容に少しの不安を感じながら箱を開ける。 1段目には野菜とツナが入ったサラダと冷凍食品のハンバーグ、空いた場所を埋めるためのブロッコリーとミニトマトが入っていた。2段目には米とふりかけが入っていた。 「ヒガタさんお弁当っすか、珍しいっすね!」  外から帰ってきたミルトは机の上の弁当を見るなり近づいてきた。彼の声は部屋に響きやすいもので事務所内にいた他の職員の耳にも聞こえるような声であった。 「一緒にご飯行こうかと思ったんですけどお弁当持ってきていたのですか」  普段軽食で済ませていたため珍しかったのだろう。ミルトの言葉を聞いた職員が食事をとろうとする俺をジロジロと見てきた。人に自分の弁当を見られてしまうことに何とも言えないむず痒さを感じながらも弁当を食べることにした。
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