憧れの菜々子姉ちゃん

1/1
前へ
/20ページ
次へ

憧れの菜々子姉ちゃん

昼休み。弁当を食べていると、廊下から激しく呼ばれた。 「(たくみ)っ、ジャージの上持ってない? 上だけ忘れちゃったの。次体育なんだよ!」 そこには半袖体操服にジャージズボン姿の菜々子姉ちゃんが、寒そうに自分の両腕を抱えて(さす)っていた。 うちの高校ジャージは男女共用、全学年統一。胸に名前の刺繍が入っている。 「菜々子さん! 俺のジャージ着てくださいよ!」 お調子者の裕介(ゆうすけ)が手を挙げた。 「いや、山崎くんのだと忘れたのバレちゃうよ。浜田先生厳しいから、貸し借りバレると怒られちゃう。だから匠、ジャージ貸して!」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加