思わぬ風評被害

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思わぬ風評被害

翌日登校すると、林が小声で聞いてきた。 「なぁ匠。お前、裕介と付き合ってんの?」 「んなわけねぇだろ?」 「保健室の井上先生が言いふらしてるぞ? 『付き合ってくれるか?』って匠から告白してたって」 「あっ、俺も聞いたぞ。『お前無事か?』とか『お前が守ってくれたから』とか散々イチャコラしてたって」 黒井の爆弾発言に、昨日の記憶が蘇る。 井上先生、腐女子だったのか! 「おい裕介、お前もちゃんと否定しろ!」 返事がない。一夜明けても裕介は白い灰のままだった。 「全部APのせいなんだ!」 否定する俺に林は同情の眼差しを向けた。 「AP? アクセスポイントか、確かにな。保健室は女子のたまり場だから、井上先生に知られた時点で全校女子に広まったも同然だからな」   「マジか? 終わった……」 女子から好奇心むき出しの視線を浴びて、俺も白い灰になった。
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