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返ってきたジャージ
「助かったよ、匠。ありがとねぇ!」
翌朝、菜々子姉ちゃんは教室までジャージを届けてくれた。
「そんなに急がなくても良かったのに」
「いやいや。だってほら、匠のクラス今日の1限体育じゃん!」
そう言って紙袋を俺に押し付けると、菜々子姉ちゃんは3年のクラスへと戻っていく。
「やっぱいいなぁ、菜々子さん!」
裕介はうっとりと後ろ姿を見送っている。
急いで洗って乾燥機をかけてくれたのか、ジャージはほんのり温かい気がした。
裕介が匂いを嗅ぎにくる前に、俺の匂いを上書きしなければ!
俺は慌ててジャージを取り出し袖を通した。
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