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余談。
先生さんと夏恋さんが帰ったあと、夕飯にとピラフを注文するついでに店長に訊いてみた。
「店長。何でこの猫の噂、全否定するんです?」
きょとんとした顔を見せて、店長は笑い出す。
「あは、皐月くんまでそれを言うの~?でもね、ダメよ。もし、本当に猫ちゃんが神通力みたいなの持ってたとしても、アタシだけは認めてあげないの。」
「…何でですか?」
「だぁって~、そうなったらアタシのコーヒーがお猫様のオマケになっちゃうじゃない?ここには、お茶をしに来て欲しいのよ、アタシは♪」
バチコーンとウインクまで決める店長に苦笑いを返しつつ、そういうもんか、と思う。
「あ、そういえば。夏恋ちゃんね、例の彼氏とヨリ戻したんだって。探してたピアスがきっかけだって笑ってたわ。浮気は誤解で、夏恋ちゃんのためのプレゼントの相談してたんだとか。またレオ君レオ君ありがとー!ってはしゃいでたわよ。」
ピラフを運んでくると、店長は内緒話をするように教えてくれた。
「本当に、ご利益あるのかも知れませんねぇ…。」
「ふふっ、無いって言ってるでしょ?」
イタズラっぽく笑って店長が厨房へ向かう。
俺も何か困ったら話だけでも聞いてもらおうかな。そう考えながら熱々のピラフを口に運んだ。
猫は、暗くなってきた外を眺めて、ゆったり尻尾を揺らしている。
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