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電気をつけて冷蔵庫を開けると、確かに十五個程の生の餃子が乗った皿がラップに巻かれ入っていた。
ワタクシ、それを半分程焼いて食べてみる。今まで、食べた事の無い肉の味がした。美味い。しかし、そこでワタクシの脳内に一つの悪魔的な言葉が浮かび上がる。
『猫餃子』
考えれば、考える程、猫肉が使われている様な気がしてくる。いや、そうとしか思えない。餃子の具材に使われた猫の事を思うと、涙が溢れる。
料理されてしまったなら、全て食べてあげるべきじゃないのか、とサイコパス的発想に囚われていたいた頃、ワタクシ、生の餃子が載っている皿の裏に小さな紙がくっついているのに気付いた。ワタクシ、紙をめくる。
『正解は、ざーさい』
ワタクシ、紙をゴミ箱にイン。涙を返してほしい。あと、ざーさいって何だっけ。ワタクシ、聞いた事はあるけど、買った事は無かった。メンマ的なヤツだろうか。まぁ、猫が材料に使われていなかったのなら、どうでも良い。
ところでワタクシ、一つ気になる事がある。ワタクシの住んでいるアパートから実家までは車で二時間くらい掛かる。母や妹がふらっとここに来るなんて事はあり得なかった。数少ない女友達は昨今のコロナ禍の影響で音信不通状態である。そして、そもそも聞いた事の無い声色の人だった。
そこから導き出される結論は一つ。……ははーん。泥棒猫?
「この、泥棒猫!」は人生で一度は言ってみたい台詞の、割と上位の方に入ると思う。
そんな事でも考えていないと、ワタクシ、今夜トイレに行けそうにない。
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