澹然無極

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 散々流星群のピークが過ぎたあたりに姿を現した後輩に先輩たちは心配するどころか妙に察しの良い視線を送った。  恐ろしいことに、なかなか戻らない後輩を心配した2年生たちが様子を見に音楽室へやって来ていたらしく、二人が中でキスしているのを見てしまい、馬鹿馬鹿しくなって二人の代わりに消灯して回り、さっさと屋上へと帰還していた。 「都市伝説だったわ、何が仲違いだか、逆もいいとこだな」  満点の星空を見上げながら2年生は直接本人たちに告げるわけでもなくぼやいてみせた。  二人は居た堪れなくなってレジャーシートの端っこでひたすらに小さくなって座った。 「明月にもあったんだなぁ、性欲」 「先輩っ、セクハラですよ、それ!」と志翠が清風の横から突っ込む。 「うるせぇ! 部活動中に二人して発情してる方のがよっぽどセクハラだわ!」  珍しく正論な先輩にぐうの音も出ず、志翠は清風の隣でさらにま小ささを増した。 「今年の地学オリンピック……優勝出来そうか? 明月」  3年生からの今回の件に対する指導代わりの打診案に清風は静かに「…………善処します」と、重く答えた。
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