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スノとの出合い
恋人のタクヤから急に呼び出された場所は、高層階にあるオシャレなレストラン。どうやら予約してくれたらしい。
この日は、フルコースで美しい料理とワインを堪能した。日頃の疲れが抜けていくような贅沢な時間。夜景を眺めながらの食事も一通り終わりに近づき、のんびりとタクヤと会話を楽しんでいた時、レストラン内が急にほの暗くなった。
「こちら、当店からのサービスです」そう言ってサツキの目の前に、HAPPY BIRTHDAYとお皿に書かれた可愛いケーキとプチデザートの乗ったプレートが置かれた。ケーキに刺さったローソクには火が灯っている。レストランのこだわりなのか、ピアノの生演奏でハッピーバースデーの曲が流れはじめた。短い曲が終わるとレストランの店員や他の客達が拍手してくれた。
えっと? 何だろうこれは……
いきなり主役になったサツキはボンヤリしたままだ。
「サツキ、誕生日おめでとう」
「えっ、誕生日?」
「あ、やっぱり忘れてたんだ」
タクヤが苦笑している。「あ、あれ? そう、そうだった!! タクヤ、ありがとう」と感激を装いつつも背中を冷や汗が流れた。
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