17人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
ファンタジーなんてガラじゃないと思う
なんだか体がゆらゆらと揺られている。そんな気がしてサツキは閉じていた目をそっと開けてみた。下に地面が見える。でも、地に足は着いていない。
これは、一体どうしたことだろう……?
手足がブラブラして、しかも力が入らない。ゆっくりと地面が動いている。
移動してる?
サツキは記憶を辿ろうとした。
「昨日もスノを抱いて寝たんだよね。朝、起きたっけ? あ、仕事は?!」焦ったが、さっぱり思い出せなかった。すると、
いきなりの浮遊感を感じて「キャーッ」と悲鳴をあげた。そして、ドサッと地面に落下した。
「イタタタ……」
サツキは手足を動かして怪我してる所がないか確かめてみた。良かった。手足は動く。
「ふぅ、下が柔らかい芝生で助かった……」
打った所が痛いけど、なんとかすり傷だけで済んだみたい。
『ボス、連れて来たにゃ』
『おお、ご苦労にゃった』
サツキが声のした方を見ると、近くに大きな二匹の猫がいた。大人の男性程の大きさがある。つまり、二匹はサツキよりもかなり大きい。しかも、その二匹が何故か人間の言葉を喋っている。
ね、猫が喋ってる? それになんでそんなに大きいの?!
一匹の猫はニヤリと笑って、手を差し出した。
『ようこそサツキ、われらの世界へ歓迎するにゃ』
サツキは目と耳を疑った。
「えーっと、どういうこと?!」
最初のコメントを投稿しよう!